◆今回は、石毛さんに【野球の指導者に大事な資質とは何か】について伺いたいと思います。
石毛宏典(以下:石) :指導者は、子どもたちに対して、素直になれと言いますが、「指導者も素直な気持ちを持ち続けること」がまず大事です。
指導者の方は、おそらく小・中・高は野球に携わってきていて、その時代時代で指導を受けた理論が体にしみついているかと思います。
その理論が正しいと思うならそれを続ければいいのですが、その理論が違うのではないかと思ったら、誰かに聞きに行って、「やっぱりそれは違うのですね。」と素直に認め、すぐ「変える」「変えられる」という素直さが大切です。
その根本には、指導している子供たちに上手くなってもらいたい、故障してほしくないとか、そういう「子どもたちを主体に考える」考え方があるからです。自分のメンツやプライドとか関係なくして、「子ども優先に考えていく」と、そういう素直さが一番求められます。
石:「俺たちはこう習ってきた。なぜできないんだ。こうだろう。」というこだわりですよね。
「なぜできないのかを分析し、正しい理論に照らし合わせた導き方・表現方法・練習ドリルメニューが考えられず、伝えられていない」という現状はあると思います。
指導者が「なぜ、どうして」と真剣に考えるべきだと思います。
◆指導者が思考を停止させるのではなく、「なんでだろう、どうしたら上手くなるだろう」と、常に考え続けることが大事なんですね。子供たちのために。
石:主体は子供たちですからね。
◆昔は、「左足の前で捕りなさい」と守備では言われていたように思います。
あれも、【石毛理論】で言うと、間違っているんですよね?
石:そうですね。あれは、間違いですね。「グラブを立てろ」とか、「下から使え」とかも。
◆トップの時に右足が伸びてしまって、送球のときにバネが使えないということになりますもんね。
※右足が伸びてしまい、送球が不安定になる取り方

※右足が曲がっているために、スムーズに送球につなげることができる

※なぜ右足を伸ばすといけないかは、AI野球教室「Q&A」の「守備でやってはいけない形とは、どのようなものでしょうか?(その2)」からご確認いただけます。
石:「なんで左足の前で捕らなければいけないのか」。
指導者は、説明して、自分の身をもって見せてあげるのが手っ取り早いですよね。
それができなければ、自分の考えが違ったのだと導き出して、正しいものを子どもたちに伝えていくことができます。そうしなきゃいけないですよね。
◆指導者も「自分で納得した上で、それを自分で表現して、やってみせて教える」ということが大事なんですね。
石:指導者も監督とかコーチとか色々います。
監督が高齢になってくるとそれが難しいこともあるでしょうから、そのような場合は、コーチをまず指導して、コーチが子どもたちに見せてあげるというような、段階的なものも必要かもしれませんね。
◆野球にそんなに詳しくない方が指導者として指導するケースもあると思います。
そのような場合には、どうやって子どもたちに教えていったらいいのでしょうか?
石:その場合は、無理してまで教えなくていいでしょう。
知らないことを教えるから間違ったものになるのです。正しければいいのでしょうが。
そういう方が指導者になると、おそらく肩書きをもらうと、「教えなければいけない」と思って、色々な映像を見たり書物を読んだりして、おそらく頭の中では理解はすると思います。
あるいは、野球解説者の表現方法を見たり聞いたりしてそれを伝えていくのでしょうけど、実体験としてない方が頭でっかちの中で、指導していくのは難しいです。
分からないなら、「分からない」と素直に言って、「プロ野球をみて○○のプレーを参考にしよう」、といったヒントの投げかけだけでも十分だと思うんですよね。
◆そういう面でも素直さというのが大事なんですね。ありがとうございました。
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